米ADHD患者数10年で43%増、若者は10人に1人以上

公開日: 8:55 ADHD 精神医学

米ADHD患者数10年で43%増、若者は10人に1人以上
医学誌「Journal of Clinical Psychiatry(臨床精神医学ジャーナル)」に発表された今回の研究結果によれば、2011年には、米国の子どもと10代の若者を合わせたうちの12%がADHDと診断され、03年に同じ調査で保護者から報告された8.4%から大幅に増加していることが分かった。特に10代に焦点を絞ると、診断数は03年から52%増加していることが判明した。
ADHDに対する認知度の向上や、診断基準、特殊教育政策の変化によって、見かけ上、患者数が増えただけではないかとの指摘もあるとのことです。
ちなみに日本のADHDについて、ADHD.co.jpのウェブサイトでは「ADHDの行動の特徴だけからみると、学齢期(6歳から15歳)の子どもの7~10%前後があてはまるが、実際に日常生活や学習面で支障をきたす子どもは3%前後とされるため、一般にADHDの頻度は3%前後とされることが多い」と伝えている。文部科学省による全国実態調査「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」でもADHDが疑われる子どもは2.5%とされている。また成人後の頻度は、日本ではデータがほとんどなく不明とされている。ADHD患者数の増加の背景に製薬会社の啓蒙活動と支援団体


ADHDのチェックリストASRS

公開日: 16:09


成人期のADHDの自己記入式のチェックリストとして、現在、よく使われているものにASRS-v1.1というものがあります。

Adult ADHD Self Report Scale が正式名称です(そのバージョン1.1という意味ですね)。

世界保健機関(WHO)と、ADHDの専門家の協力により作成されたそうです。



これは、成人期のADHDのスクリーニングツールとして利用されるもので、どの程度、ADHDの症状をもっているかを確かめるために作成されています。

ただし、このチェックリストで高得点だったからといって、ADHDとすぐに診断されるわけではありません。診断は、診察や生育史の聞き取り、より詳しい心理検査などから、専門医が総合的に判断するものです。

パートAとパートBに分かれていて、「過去6ヵ月間におけるあなたの感じ方や行動を最もよく表す欄」にチェックを入れるよう求められています。

全くない めったにない 時々 頻繁 非常に頻繁

の5件法で回答します。パートAには次のような質問項目が含まれています。

  1. 物事を行なうにあたって、難所は乗り越えたのに、詰めが甘くて仕上げるのが困難 だったことが、どのくらいの頻度でありますか。
  2. 計画性を要する作業を行なう際に、作業を順序だてるのが困難だったことが、どの くらいの頻度でありますか。
  3. 約束や、しなければならない用事を忘れたことが、どのくらいの頻度でありますか。
  4. じっくりと考える必要のある課題に取り掛かるのを避けたり、遅らせたりすること が、どのくらいの頻度でありますか。
  5. 長時間座っていなければならない時に、手足をそわそわと動かしたり、もぞもぞした りすることが、どのくらいの頻度でありますか。
  6. まるで何かに駆り立てられるかのように過度に活動的になったり、何かせずにいられ なくなることが、どのくらいの頻度でありますか。

検査は、下記のイーライ・リリー社のADHDに関するサイトで受けることができます。

ADHD症状チェックリスト

検査用紙のダウンロードは、

ASRS-v1.1

から可能です。




大人のADHDとは

公開日: 23:09

以前は発達障害といえば、子どもの育ちや適応の問題として語られることがほとんどでした。ところがここ何年か、「大人の発達障害」に注目されることが多くなってきました。

NHKの番組でも、大人の発達障害が特集されるなど、社会的な認知が進んできたと言えます。

大人の発達障害のなかでも、「アスペルガー症候群」は、最初に注目されました。対人関係がうまくもてず、こだわりが強いことなどから、仕事場面で問題になることが多いからだと思います。



ところが、実際はアスペルガー症候群(現在では「自閉症スペクトラム障害」と呼ばれます)よりもADHDの患者の方がかなり数が多いことが明らかになってきています。

大人のADHDの症状

ADHDとはAttention Deficit Hyperactivity Disorderの略で、日本語では「注意欠陥多動性障害」と名付けられています。
不注意などの注意の障害と、多動性・衝動性などが主な症状です。

上にも述べたように、近年、大人のADHDが注目されるようになってきました。自ら違和感をもって、あるいはテレビで観たことなどをきっかけに、本やネットで調べて「自分はADHDではないか」と考える人もいますし、家族や同僚から指摘されたことがきっかけとなる人もいます。

このような症状が見られます。
  • ケアレスミスが多い。
  • 物をよくなくす。
  • 計画性がなく、仕事を先延ばしにしてしまう。
  • やるべきことを忘れてしまい、約束を守れない。
  • 片づけが苦手で、部屋や机の上がいつも散らかっている。
これはいずれも「不注意」に関係する症状です。上手に注意を配分したり、持続させることが生まれ持って苦手なため、こうした問題が生じてくると考えられています。

もうひとつは「多動性・衝動性」に関係する症状があります。
  • いつもそわそわと動いている。
  • 落ち着きがない。
  • 不適切なことをうっかり言ってしまう。
  • 一方的に話す。
  • イライラしやすい。
  • 思いついたらすぐ行動してしまい、待てない。
身の回りに一人や二人、こうした特徴をもった人を思い浮かべることができるかもしれません。あるいはあなた自身に、こういう傾向があると気づくかもしれません。

原因は? どれくらいの多いのか?

では、ADHDの原因はなんでしょうか? まだはっきりと解明されていないことも多いのですが、家庭環境や育ち方ではなくて、生まれながらの脳の特徴と関連しているというのが共通見解になっています。


学齢期の子どもの場合、ADHDの有病率は3〜7%です。大人のADHDは、人口の2〜5%程度と考えられています。クラスに1人くらいADHDの人がいても、ぜんぜんおかしくはないのです。

大人のADHDの場合、子どものころから不注意や多動性に気づかれていて、成人してもそうした症状が残っている場合と、大人になって初めて気づかれる場合があります。子ども時代にADHDと診断された人のうち、3〜5割くらいが、大人になってからもADHDに関係するなんらかの問題を感じているといいます。逆にいえば、過半数は、大人になるにつれて問題が解消されていくということです。

男女の差はあるの?

子どもの場合、男の子は女の子の3〜5倍程度多く、ADHDと診断されているようです。女子の方が、多動性や攻撃性が少なく、不注意がより目立つことが多いようです。そのため、学校場面では男子と比べるとあまり目立たず(ぼーっとしてるだけのことが多いので)、結果として診断されないまま大人になることがあるのでしょう。